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外ケ浜の男(田澤拓也著)を読んだ。津軽の昭和の物語・・・
評価:
田澤 拓也
角川学芸出版
¥ 1,800
(2010-04-17)
コメント:第二次大戦前後の青春、青森の田舎、そして札幌を生きた父の思い出を実力派作家がほのぼのと描く。

 我が友、田澤拓也の最新作だ。青森の地元新聞「東奥日報」に連載されていた小説が単行本になった。
陸奥湾を望む病院で、医者である父が自らの最後を悟り、次男で作家である拓也に、録音された数本のカセットテープを渡す。「玉手箱だよ、俺が死んだら聞いてくれ」と・・・・

青森市からは結構遠い、ふるさとで、漁師の何として育った父。教育熱心な両親でもあり、長男は北海道大学の医学部、次男は漁師。そして3男である父は、紆余曲折を経て札幌医専へ。
しかし、太平洋戦争の荒波に飲み込まれ2人の兄は戦死・・・

なだらかな津軽のやまなみ、青い陸奥湾、激しい東風。そんな津軽を家族は時代に翻弄されつつも、ユーモラスに、しかし懸命に生き抜いて行く。そして終戦。この僻地に「病院」を建設し、昭和を、戦後をしっかりと生き抜いた父。
そんな中、若いころから父が「外ケ浜の男」というタイトルで女性観察日記を付けていた。そこには彼の女性感が、そして父と母の恋愛物語がほのぼのと描かれ、思わず一気に読了だ。

拓也の結婚式に「実際」出席し、最後の「父」のスピーチのユーモア。そしてちょっと悲しく涙を誘うペーソスはここにあったのだと、ようやく分かった。

もちろん、この家族を知らなくても、十分面白く懐かしく、ちょっぴり悲しい秀作だと思う。

author:m-dax(hangover), category:, 21:55
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憲法記念日に『ジミーの誕生日 アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』を読んだ
評価:
猪瀬 直樹
文藝春秋
¥ 1,500
(2009-11-25)
コメント:憲法記念日に読んだ。憲法記念日や天皇誕生日には、「占領国」の、様々なメーッセージがあったのだ。

 
JUGEMテーマ:読書
憲法記念日に読んでみた.作者の猪瀬直樹さんのTwitterやブログでこの日に向けて?!盛んに自著をアピールされるので今回はその「宣伝』に乗ってみた。

長い本のタイトルから推察出来るように、英語の家庭教師から「ジミー』というニックネームをもらっていた現天皇明仁の誕生日12月23日にA級戦犯である東条英機元総理大臣はじめ7人んが処刑された。これが、日本人、そしてある人に「戦争責任』をずっと忘れないように、毎年この日がくれば必然的に思い出すように決めた戦勝国の「サイン』だという話だ。

憲法記念日の5月3日は東京裁判の開廷した日、A級戦犯が起訴されたのは旧天皇誕生日の4月29日、「戦犯」たちが処刑されたのが今の天皇誕生日。そして日本側に憲法草案の締切り日として指定された2月12日はリンカーンの誕生日・・・・・・

終戦前後のある「子爵夫人』の日記をたどりながら、「その時代』の、天皇、皇太子そして日本とアメリカの状況を面白く描いてくれている。(ただ以外と短い本で、よく言えばあっという間に読める・・・が1500円は少し高いかなあ)
これ以上は読んでいただくとしましょうか。
author:m-dax(hangover), category:, 08:28
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一言半句の戦場 -もっと、書いた!もっと、しゃべった!
郵便受けの中に,集英社からずっしりと重い単行本が届いていた。
「一言半句の戦場」・・・没後20年になる作家、開高健先生の、単行本には未収録だった原稿、対談、座談会、インタビュー、広告コピーなどを編集したものだ。帯にあるとおり「文豪、最後の新刊」だ。
週刊プレイボーイの「人生相談」連載時からアートディレクションをされていた江島任さんの、緩急自在のタイポグラフィーで、実におしゃれな本に仕上がっている。
小説家、ルポルタージュ作家、エッセイスト、コピーライター、旅行家、釣り師、編集者として多彩な才能を、又、独自のものの味方を天才的な表現力で我々を唸らせてくださった先生の「単行本未収録作品集成」だ。
桑原武夫氏、小田実氏等故人との対談。谷沢永一さんの書き下ろし・・・これは連休中の楽しみが出来たぞ。

「飲む」についての一文・・
ピリピリひきしまり、
鋭く輝き、
一滴の暗い芯に燈明さがたたえられている。
のどから腹へ急転直下、
はらわたのすみずみまでしみこむ。
脂肪のよどみや、
淡白の濁りが一瞬に全身から霧消し、
一滴の光に
化したような気がしてくる


コミュニケーション、表現にかかわる人たちにお勧めの一冊だ。
少し高くてずっしりと重い本だが、充分に元は取れますよ。
ささやかに、私も駄文を書かせていただいております
JUGEMテーマ:読書


author:m-dax(hangover), category:, 08:17
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「ハンバーガーを待つ3分間」の値段―企画を見つける着眼術 (幻冬舎文庫 (さ-21-1))
評価:
斎藤 由多加
幻冬舎
¥ 520
(2007-09)
Amazonおすすめ度:
自然体の学術書
着想本の文庫化
昨年のクリスマスの深夜著者からクリスマスプレゼントでいただいたこの文庫本。
「この本は2,3時間で読めますよ」といただいた。
たしかに数時間で読める。身近なテーマ、具体的な事例を、まさに『天才の発想』で、新鮮に切ってゆく。そうか、ゲームクリエイターとは柔軟に世の中を見つめる批評家であり思想家なんだ。シーマンはじめ、ゲームの中身は身近な事柄の本質を追っているのだった。
リクルート社が研修の教科書に使用した意味がよく理解できる。
『行列の科学』では、空港やディズニーランドでの『列』の考察や『ファストフード』のサービスについてマーケッターの視点が光る。
高速道路の標識で『ガソリンスタンドまで何キロ』という表示の不親切さについてはF1レーサーの話をヒントにこう語る。
「このスタンドを逃がしたら、あと何キロスタンドがないのかがわからない。重量と燃費は大きく影響しあうので、次の情報がなければ、給油の判断材料にならない。とても不親切だ」と・・・目からうろこ、です。
同著のサブタイトルにあるように、まさに「企画を見つける着眼術」満載の項著だ。

<
JUGEMテーマ:読書


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author:m-dax(hangover), category:, 15:11
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反転―闇社会の守護神と呼ばれて
評価:
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幻冬舎
¥ 1,785
(2007-06)
Amazonおすすめ度:
戦後日本の光と影が描かれています
貧しさゆえのやさしさ
法曹倫理のアンチ・テキスト
友人の作家E上さんが「元広報に居た者としてリアルで面白い」、また大学の同級生Kさんも「Y君との関連もあって是非読むべき」などなど、読まないと話題について行けないほどのお勧めの嵐があった。で、土日に読みました。

極貧と超バブル、正義の番人とやみ社会の守護神・・・ともかく終戦後の日本の縮図が、たった一人の筆者の中に濃密にこってりと凝縮されている。そんな田中森一氏の「自伝」であり、日本社会のドキュメンタリー・・・まいりました、面白い。そして背筋がぞっとする。

筆者は、昭和18年長崎県平戸の漁村生まれ。弁当を水でガマンする極貧生活。母の理解で定時制高校、夜間予備校にアルバイトをしながら通い、岡山大学で在学中に司法試験に一発合格。大阪東京の特捜部検事などで「正義の味方」として大活躍。しかし重大事件が次々と上層部や、もっと大きな圧力から「方針」としてつぶされ辞職。
弁護士を開業してからは、「社長などトップと話のできる企業」を条件にクライアントを増やしヘリコブターまで購入する「バブル弁護士」となる。とくに、「闇社会」のボスから信頼され、また彼自身、共感するところもあって実績を残す。そんな中、古巣の特捜部の手によって逮捕される・・・といった激動のストーリーだ。
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author:m-dax(hangover), category:, 10:52
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旅するデザイン 鉄道でめぐる九州 水戸岡鋭治のデザイン画集
評価:
水戸岡 鋭治
小学館
¥ 3,150
(2007-06-06)
Amazonおすすめ度:
JR九州車両の本
先日紹介した赤坂うまやの居心地の良さは、水戸岡鋭治さんの空間デザインによるところが大きい。
その水戸岡さんが「旅するデザインー鉄道でめぐる九州」(小学館)という素敵な書籍を出版された。

氏とは「南九州観光開発委員会」でテーブルを並べ、その自然に対する『優しく鋭い眼差し』には敬服していたが、日曜の午後に届いた、この本のおかげで今日は、豊かな時間が過ぎていった。

書は『九州を走るJRの鉄道デザインを中心に、仕事のために書き溜めた多種多様のイラストレーション』が中心の画集。まさに九州を走る素敵な列車のほとんどが水戸岡さんのデザインによるものなのだ。もちろんそのデザインの思想、背景もじっくり読ませる。
『自分ならどんなシートに座りたいか。どんな車窓を楽しみたいか。どんなものを食べたいか』を真剣に考え、デザインしてゆく。実際、「新幹線つばめ号」のデザインから、社内そして弁当。案内嬢の制服にいたるまで一人で描き、それが実現しているところが素晴らしい。

新幹線800系つばめのブラインドは薩摩と肥後のさくら財を使用し懐かしく暖かい御簾のイメージだ。長崎へ走る特急かもめ号のモダンさ、湯布院へ向かう特急ゆふいんの森のリゾート感覚。黒い車体をゆすりながら走る肥薩線の特急はやとの風真っ赤な「いさぶろう・しんぺい号」のレトロな懐かしさ・・・さらに、博多と釜山を結ぶ水中翼船「ビートル」も彼のデザインで、もちろん収録されている。
嘉例川駅に停車する「はやとの風」肥薩線・嘉例川駅に停車する特急「はやとの風」。駅も列車もそして名誉駅長の制服まで、すべて水戸岡さんのデザイン)

こんな「作品」を軸に、四季の美しい風景、植物や昆虫のイラストも楽しい。詳細で美しい「デザインの旅の記録」なのだ。

その上、博覧強記のミュージアムプロデューサー砂田光紀さんの、解説も丁寧で、九州の魅力、各地の文化や歴史もよく判る仕掛けになった好著だ。まさに「旅する気分」になれる。
休日の午後、あるいはリゾートに行けない夏休みの諸兄に是非お勧めしたい一冊です。

author:m-dax(hangover), category:, 13:21
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ツクヨミ-秘された神
評価:
戸矢 学
河出書房新社
¥ 1,785
(2007-03)
小学校の修学旅行で伊勢神宮にお参りしたとき以来、何度か訪れてきたが、常に、『本宮』が、天照大神を御祭りしているのに対し『外宮』が、豊受大神をお祭している、ということに大きな違和感があった。
不謹慎かもしれませんが、対を成した「宮」としては、神様の格が違いすぎる・・と、小学生の時から、引っかかっていたのだ。

「ツクヨミ・秘された神」〈戸矢学著・河出書房新社)を読んで、40年の霧が晴れた気分ですね。
何故か・・・それは読んだ後のお楽しみですが、アマテラス、スサノオ、ツクヨミと言う3神のなかで、どうして「ツクヨミ」のことを扱ったものが少ないかを切り口に、古代史に、いや、神々に切り込んでいく。

筆者は、古事記、日本書紀はもちろん、古今東西の資料文献に当たり、そして、文明の利器「インターネット」もフルに活用しながら、史実と、その盲点をパズルのように一つ一つ積み重ね、解き明かしていく。

天武天皇の功績、桓武天皇の業績。
数少ない北向きの神社、鹿島神宮と諏訪大社は見事に同じ緯度にあることなども、面白くて、どんどんページが進んだ。〈これ以上は、書くのをやめましょう)

ただ、マスコミ受けする宗教家でも、スピリチュアリストでもない戸矢氏が、おそらくこれまで膨大な資料を当たってきたゆえに、また、陰陽道や古代道教等の深い知識や洞察力ゆえに、最初の一章が、ちょっと難くて読みづらい。正直に言えば、僕もこの本を手にして1ヶ月、第一章で停滞していた。
しかし、この30ページを超えると、面白い地平がドカーンと広がっているのだ。ここをガマンして読み進め!
久々に、個人的に星5つ。☆☆☆☆☆
author:m-dax(hangover), category:, 11:10
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「山口瞳の行きつけの店」〈山口正介著〉を読む
山口瞳の行きつけの店かつてお世話になり同著の企画にも同行させていただいた山口瞳先生の「行きつけの店」〈新潮文庫)には懐かしい思い出が詰まっている。

 長男、正介氏が、父、瞳さんのめぐった店を母上と再訪しつながら、その店の事、そして、山口瞳論、山口家について書き下ろしたのが今回の「山口瞳の行きつけの店」〈山口正介著・講談社ランダムハウス)である。

当然ながら私とは比較にならないほど深く濃い想いのあるこれらの店を、「是非訪れてみたい」という母親の希望をゆっくりと実現しながら巡り、綴った、味わい深いエッセイ集だ。

地元国立の喫茶店、鮨屋、蕎麦屋、鰻屋から、東京の老舗酒場、金沢、京都・・・再訪し、父親の面影を通して、一人息子の長男はさまざまな事を感じる。父の生き方、粋・・小説に隠されたもの、そして母との愛。これらの店には、山口瞳流の生き方が、その中に息づいているのだ。素敵な読書の出来た週末だった。正介さん、有難う。

このところ、この「行きつけの店」の中に、閉店のやむなきにいたった店も複数出てきたことも、僕にはセンチメンタルジャーニーだ。表紙の写真の、あの暖簾の向こうに僕はいる。福井鉄也さんの写真も素敵です。
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author:m-dax(hangover), category:, 11:59
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ワインと外交〈新潮選書〉を読む
酒食を共にすると、人は親しくなれる。これは、我がつたない経験でも、よく実感するところだ。だから毎晩、飲む・・・??

金曜日、なにげなく書店で買ったワインと外交」(西川恵著・新潮選書)が、実に面白く、酒も飲まずに一気読みしてしまったワインと外交

出版社の紹介文によると『饗宴のテーブルは時に、表向きの言葉よりも雄弁に「本当の外交関係」を物語ることがある。天皇主催の晩餐会で飲まれなかった高級ワイン、舞台裏で「スープの格」論争が展開された安倍総理の訪中、「海の幸だけ」が出された独仏首脳の会食、移民国家の利点を効かせたホワイトハウスの饗宴......。真の政治的メッセージは、そうした饗宴の細部に宿るのだ。ワインとメニューから読み解く国際政治の世界。』
とあるが、要は、重要な会議のあとの「饗宴」の中にこそ国家という立場を超えて、繊細でさまざまな人間的なやり取りや、意味がこめられている具体例が、わかりやすく紹介されているのだ。

イラク戦後、再選の決まったブッシュ大統領が最初に訪問したのは、EU本部のあるブリュッセル。かの地に着いた翌日に米国大使公邸の夕食会に招待したのは、フランス、シラク大統領だ。ギクシャクしたEUとの関係、とりわけフランスとの関係修復が重要な課題だったのだろう。そのメニューは


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author:m-dax(hangover), category:, 21:20
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『失われゆく鮨をもとめて』を読む
失われゆく鮨をもとめて十数年前、第一回「小学館ノンフィクション大賞」を受賞した筆者、一志治夫氏は、当時からとても気になっていた。
今回そのタイトルに引かれて手にした『失われゆく鮨をもとめて』は、電車の中で読み始めたが、あまりの面白さに駅をやり過ごすところだった。
目黒の住宅街にある寿司屋さんで『世界最高の幸福感』を味わった筆者が、親方、佐藤衛司さんにほれ込み、その技と人柄、もちろん美味さの秘密を探ってゆく。そして、この店で使われる食材を訪ねて利尻から鹿嶋、勝浦、能登、築地、伊豆、奥志摩へ旅に出る・・・こだわりは、鮨ネタの魚貝類のみならず、米、塩、氷、和芥子・・等々大いなる広がりを見せる。
旅の先々で、海を見つめ、漁師と語り、食材と触れてゆく中で、このお店の小宇宙が解き明かされてゆくのだ。
単なる寿司屋さんの紹介グルメ本ではなく、時代の背景に潜む、環境問題をはじめ、広くて深い問題が浮かび上がった好著だと思う。

いやいや、そんな堅い話はともかく、何よりとても美味しそうな店で、すぐにでも行きたくなったのだ。うーん食べたい

(版元である新潮社のPR誌『波』で、この店の常連客である尾崎亜美さんがこんな書評(感想)を書いておられるので参考まで)
author:m-dax(hangover), category:, 11:13
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